ブルドックの買収防止策は社会的妥当性があるか

ブルドック社(B社)が外資系ファンドであるスティールパートナーズ(S社)に対する買収防止策として、既存株主に対するストックオプションを発行し、S社のシェアを10%から3%に下げる方針を打ち出したという問題。

これについてS社は東京地裁、高裁に対してこの方針に対する異議を唱えた訳だが、いずれも司法判断は正当(S社の異議は却下)というものであった。

司法判断は特に物的な証拠からどうこうというわけではなく、S社のこれまでの投資実績を引き合いに出し「濫用(らんよう)的買収者」であるとの認識を示し、今回の決定に至ったという。

この決定については異論も多いようであるが、「濫用的」な売買であってもそれを許している現在の市場経済の中で、何が違法なのかはイマイチ曖昧なまま判断が下された。

B社とS社の問題は顛末を見届けるとしても、そもそも外資だからという理由で濫用的買収者とみなされている訳では無いことと、国内投資家も投機的売買を繰り返すファンドも多いことを併せて知っておく必要がある。

つまり、短期的売買によって、「投資を受ける会社側にどのようなメリットがあるのか?」という点に問題は集約される。

もし、総論としてメリットが無いのであれば、現在の会社法や税法による規制が足りないということになるし、一部の企業だけがメリットを見いだせないのならば、企業側の経営課題であるとも考えられる。

いずれにせよ、企業の成長にM&Aが欠かせない時代になってきている今、株式市場のあり方を見直す時期になってきた。