人はみかけによるもの

本日は、田坂広志氏のメルマガから引用させて頂く。

人の見かけは内面の表れであるから、内面を磨いて見た目の備わっている人間になるということと、
見た目で人を見抜く眼力を備えることが必要ということである。

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 本当の「商品」



 若き日に、優れた上司から、
 大切なことを学びました。

 ある調査会社が、その上司に、仕事を求めてきたのです。
 そこで、その会社の部長と担当者に会うことになりました。

 しかし、先方との会合が始まっても、私の上司は、
 その部長と雑談をするだけで、本題に入りません。

 相手も、その雑談に、快く相づちを打つだけです。
 そして、若い担当者は、黙って側に控えているだけです。

 しかし、その担当者には、なぜか、眼光の鋭さを感じます。
 妙な存在感があるのです。

 そのうち、予定していた時間が過ぎました。
 すると、上司は、
 その雑談だけで、会合を終えたのです。

 しかし、先方を見送って部屋に戻るとき、
 その上司は私に言いました。

  あの会社に、例の調査を頼んだらどうかな。

 突然の切り出しに、少し戸惑いながら、
 私は聞き返しました。

  しかし、あの会社の調査能力は、先ほどの会合では、
  ほとんど分からなかったのですが。

 そのとき、この上司が語った言葉が、忘れられません。

  その点は大丈夫だろう。
  あの若い担当者、
  いい面構えをしていたからな。


 このとき、私は、大切なことを学びました。


 我々が、顧客から仕事を得るとき、
 買っていただくのは、「商品」ではない。
 買っていただくのは、「人間」である。


 そのことを学んだのです。



 2003年1月23日
 田坂広志